教育業に携わって約30年、大学1年から家庭教師、大手塾の講師、
そして20代半ばからは共同経営を経て、個人塾を開きました。
大手塾での私立中・高受験の指導経験を活かして、家庭教師時代は、
上位校の受験対策専門でしたが、一方で、
複雑な家庭環境の中学生や、
経済的に厳しい子ども達の家庭教師をお願いされることも多く、
その場合はほぼボランティアで引き受けてきました。
忙しい時期には、睡眠時間を削って生徒達と向き合って来ましたが、
お金のある家庭からは、もっと時間を増やして欲しいと頼まれます。
そうやって、お金を出せる家庭からはしっかり指導料を貰い、
一方で経済的に苦しい家庭はボランティアに近い指導料しか受け取りません。
私の指導を評価し、それに見合う対価を支払ってくれる親御さんに対しての罪悪感を感じ、
それならば、貧富に関係なく同じ月謝で運営できる私塾を開こうと決意して現在に至ります。
私は元々、自分が贅沢することに価値を感じない為、
お金の為に魂を打ったことが一度もありません。
自分自身が生活できる最低限の稼ぎが得られれば十分です。
夏期講習などで通常より多くの収入が得られた場合には、
生徒達を焼肉食べ放題に連れて行ったり、
全て生徒達のための道具購入に充ててきました。
生徒達に奢るようになった理由も、
「皆で食べ放題に行こう!」
と、イベントを計画すると、中には
その食事代を出して貰えない生徒達もいたからです。
私の塾は、口コミで
「難しい生徒(生活面)とも真剣に向き合ってくれる先生だよ」
と、ほとんどが紹介で入って来ました。
元々が私立対策専門で家庭教師をしていたこともあり、
その実績は地域では上位ですので
(在籍生に対しての上位校合格率は常にトップレベル)
もちろん進学校を目指す子も多く在籍していますが、
他の塾では無理だと断られたレベルの子も多く、
経済格差が教育格差であることを痛感する中で向き合ってきています。
友達の手前、
親がお金出してくれないから「参加できない」なんて言えるはずもありません。
ですから、普通に食事代を払える家庭の生徒からも貰わずに、
全員分を私が払う事で、皆が気持ちよく参加できるようにしてきました。
長年、そうやってギリギリで経営してきたため、塾経営は常に赤字でしたが、
だからと言って、私立対策や個別指導の分を追加で徴収はしません。
なぜなら、個別指導が必要な生徒というのは、小学校時代からの躓きがある、
つまり、家庭環境に恵まれていないケースが多かったからです。
心ある親御さんは、私のそのような教室運営を心配して、
個別指導代はちゃんと払いますよ、と、
申し出てくれるのですが、当然断りました。
それを受け取ると、家庭教師時代のように、
お金のある家庭からは貰い、
無い家庭はボランティアという
不公平な状況に戻ってしまうからです。
自分が生活していくため、また、大切な生徒達を守るためにお金は必要ですが、
やはり、良心に従って正当な報酬を貰いたいと信念を貫いてきました。
そういう生き方は、生徒達には勧めていません(^◇^;)
魂の修行のようなものだと割り切らないと本当にツラい人生ですが、
それでも、そうやって向き合ってきたことで、
多くの卒業生達とは、彼らが大人になった今でもずっと繋がっています。
また、私の意志を継いだ教え子達が、学校現場に入って、子ども達と向き合ってくれています。
各分野で活躍している教え子達の話を聞かされるたびに、
あの難しい状況でも諦めずに向き合ってきて良かったと喜びを感じるのです。
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