私の教え子で、30代になっても毒親の呪縛から逃れられず、自分を持てない子がいます。
彼は中2まで私の塾に在籍しましたが、中3のときに色々な事情があって辞めていきました。
その後、不良になって、高校は合格することが出来ず、建築系の仕事に入っていきました。
その毒親である父親ですが、元不良、暴走族で、同じく建築系の仕事をしてます。
短いながらも深い関わりの中で聞かされたのが、父親の若い頃のやんちゃぶりや、武勇伝でした。反抗期に入る前の中1の頃は、そんな不良の父親を誇らしげに自慢していました。話を聞きながら、
「まずいな…このまま行ったら、この子は父親と同じ方向に行っちゃうな…」
そう感じたからこそ、他の子の何十倍もの愛情を傾けて、『不良=かっこいい』という洗脳から解き放とうと工夫しました。
そういうパターンは何人か見てきましたが、ほとんど同じパターンをたどります。
小学校~中1までは、自分の武勇伝を羨望の眼差しで聞いて、気持よくしてくれる息子、そしてやんちゃな様子を自慢げに、満足げに育てていますが、反抗期に入って、思い通りにならなくなると、突然、子供に対して、全否定をし始めます。
反抗期に反抗的になるのは、子育てとしては成功だと言うことが分かるはずの無い親に、人格否定され、信頼しているからこそ反抗して愛情を確かめているのに、幼少期から憧れの対象だった父親に人格を全否定されると、大切な人格形成が壊れてしまい、親離れ出来ない大人になってしまいます。
なぜ毒親というものがあるのか、毒親の呪縛から逃れるには?
というポイントをシンプルにまとめます。
- 毒親になる人は、自分が正当な評価を受けていないという不満を常に抱えている。
- 無条件に自分を尊敬し、慕ってくれ、承認欲求を満たす対象として子供を見ている。
- 反抗期、子供が承認欲求を満たす役割を果たさなくなると、引き留めるために人格否定を始める。
- 反抗期の正しい親との関わりが出来なかった為、精神的な親離れが出来ず、どんなに酷いことをされても、深い部分で親からの愛情を求めてしまう人格になる。(承認欲求の塊のような人格)
私のように完全に親の呪縛から離れた人にとっては、親は別人格、自分は自分、
でも育ててもらった恩だけは返さないと…
と、割り切って向き合えますが、
しかし、両親とも、私に関心の無いタイプで、特に母親は上の2人の姉・兄が自慢の子供達で、私は顔が父親にだった事もあって、邪険に扱われていました。
買い物に行くときには、上の2人は連れて行き、私は祖父母に預けられ、中学で部活に入ったときにも、上の2人は直ぐに道具を買い与えましたが、私は買って貰えず、見かねた10歳上の姉が、少ない給料から出して、買ってくれました。
今思うと、ホント酷いよな…と、怒りも少々ありますが、笑い話に変えています。
不思議ですが、母親から十分すぎる愛情を与えられた姉・兄ふたりは、年老いて収入の無い両親が必要なものがあっても、ケチって買おうとはしません。少額のモノは買うようですが。
例えば、エアコンや、地デジに切り替わるタイミングでの液晶テレビ、洗濯機など、少し値の張るものに関しては、どんなに不便を訴えていても、ずっと無視です。
結局私が買うことになります。
ちなみに、上のふたりは医療関係で私よりずっと安定して高給取りです。自営業の私は収入は不安定なのに、ギリギリのクレジットカードの枠で買ってあげています。
そう考えると、私も毒親の呪縛にとりつかれているのか…?とも思えますね。 高い買い物をして会計するとき、毎回、その店員に対して、 「母親に買ってあげる、でも自分は子供の頃、部活の道具すら買ってもらったことも無いのに…」「上の兄弟は私よりずっと高給取りなのに、いつも自分が買わされている…」 と、愚痴を言っています。親に認めて貰えないので、他人の店員さんに、親孝行な息子~偉いね~と、褒めて貰いたいのでしょうw
今年は洗濯機を買ってあげましたが、当たり前のようにそれほど感謝は無かった感じです。でも、自己満足でいいやと思っているので、あまり考えないようにしています。
母親との確執?は、だいぶ前にアメブロに書きましたが、重すぎるので今後書くことは無いと思います。色々あったからこそ、今はだいぶ『こころ』は自由です。自分のやりたいことに関して、ブレーキになることはそれほどありません。
その教え子の場合とは真逆で、無関心の母親に邪険に育てられ、大人になっても、
ぽっかりと抜けた心の穴を、無意識に埋めようとしている
自分を見つめ直し、向き合って、そして
私は毒親の呪縛から解放されました。
その教え子の場合、幼少期からずっと大好きで憧れの対象だった父親なので、その呪縛はとても大きいと言えます。幼少期から植え付けられた大きな幻想を壊すことは、楽しかった父親との想い出を否定することに繋がるからです。
もし、反抗期に父親が正しい関わりを見せ、
『父親も自分と同じ人間』であり、
『小さな背中が見えてしまう瞬間』などがあれば、
大人になったある日、
父親の背中を乗り越えている自分を自覚し、
父親と自分は別人格であって、
これからは互いに支えていくべき大切な存在。
と認識出来たかもしれません。
いま、30代になってもその父親の呪縛から逃れられないその子は、
正しいこと、苦手なこと、これまで逃げてきたことに取り組んで、
成長しようと努力を始めたときでした。
ところが、それがその父親の理解を超えており、
意味の分からないことをしている息子に対して
不満と不安を覚えたようで、
わざわざ酔った状態で呼び出して説教というか、愚痴をぶつけたのです。
(私は酔った勢いでしか本音を言えない人間が一番嫌いです)
反抗期に正しく親離れの段階を踏めなかったその子は、
こころの奥底で、父親に認めて欲しい…
という思いを常に抱えています。
それは無意識の領域ですが、あらためて面と向かって言われると、
一気にモチベーションが奪われます。
やり残してきた、これまで逃げてきたことに
真っ正面から向き合い、成長しようとしている自分を認めて貰えない…
もし会社の上司や、周りの友人達に認められたとしても、
父親という存在が否定してしまうと、
一気にこころが折れてしまうのです。
それで父親は何を求めているのかといえば、現状維持です。
自分の理解の範囲を超えたことをしている息子が気に入らないのです。
こういう毒親との確執は、幼少期からの深層心理に深く刻まれているため、完全に消すことは不可能かもしれないと思います。私のように完全に克服していると思っていても、些細なきっかけで、一気にぶり返して、顔を見たくも無くなったりします。
会って話をしても、結局価値観は合わず、本音で会話すれば必ずぶつかってケンカになると分かっているので、私が細心の注意を払って、ケンカになる話題を意図的に避ける必要があるので疲れます。
それでも、離れる選択が出来るだけマシです。
私のその教え子は、勉強中であっても、酔っ払った父親に呼び出されると、慌てて実家に向かいます。
そんな様子を見ていると、まだ親離れ出来てないのか…と、
中学校から精神的に成長出来ていない彼が可愛くも見えつつ、心配にもなります。
毒親を直すことは不可能です。本人は間違っていることに気付くことは無いので。
しかし、子供がその呪縛から逃れる方法はあります。
それは、毒親を認識すること。
自分の親の毒親レベルを認識して、
自分が許容出来る妥協点を見つける。
一番重要になってくるのは、
自分自身の芯をはっきり持つこと。
親の呪縛から逃れられない理由が、
反抗期などに、正しく親離れの段階を踏めず、
常に親の愛情を求める幼い心に支配されている、
または、その割合が大きすぎる為です。
自分が親離れ出来ていない理由をはっきりと認識し、
親の望む子供ではなく、
自分自身とは?
何がしたいのかより、
自分は今、何をすべきなのか?
という正しい道を選択するのが大切です。
今、自分にとって必要な段階を踏んでいるという確信を持っていれば、
現状維持、子供のままの状態を求めて
足を引っ張ってくる毒親に
心を乱されることはありません。
経済的に自立していることは当然必要です。
もし経済的に依存しているのであれば、
毒親~とかでは無く、ただ単に、
親離れ出来ない自分の未熟さを
親のせいにして言い訳しているだけです。
(その未熟な状態を毒親が作ったということも否定出来ませんが(^_^;)
経済的に自立し、自分自身のやりたいことではなく、
今、やるべきことは?
その視点で正しい行いをする。
そういう芯のある自分自身を常に心掛けることが、
毒親からの独立に繋がると私は考えています。
う~ん…
でも、私のその教え子には難しいかな…
深く考えるのが難しいタイプなんですよね…(T_T)
普通の人でも承認欲求から解き放たれる為に悩み苦しんでいるので…
可能な限り、地道に彼に気づきを与えられるように向き合います。
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